強いストレスにさらされたり、疲れが貯まったりして精神的に弱っている時には、周囲への警戒心が強まったり、人と関わるのが億劫になったりすることは、心の働きとして自然な反応です。しかし、警戒心が強まり過ぎて、「狙われているのではないか」「皆が嫌がらせをしているのではないか」などと被害妄想や、実際には聞こえない声が聞こえる幻聴という症状が出現すると、統合失調症の可能性があります。恐怖心から外出が出来なくなったり、人と関わることを避け自宅に引きこもるなど、社会生活が困難になることもあります。統合失調症の症状は、患者さんによって様々ですが、上記のような被害妄想、幻聴、意欲の低下などが代表的です。
統合失調症は、精神的なストレスや疲れなどが重なることによって、脳の神経伝達物質のバランスが崩れることで起こる脳の病気です。治療としては、神経伝達物質のバランスを整える薬を継続して服用することが大切です。薬はなるべく少ない種類でできる限り副作用が出現しないように調整を行います。また、ストレスや疲れを貯めないようにすることや、安心して生活できる環境を作っていくこともお薬と同じくらい大事なことになります。病気の症状によって社会生活に困難がある場合には、リハビリプログラムをご案内することもあります。
統合失調症の患者さんは日本では80人に1人程度と珍しい病気ではありません。継続した治療によって回復が期待できる病気です。治療開始が早ければ早いほど、回復も早い傾向があります。思い当たる症状がある場合にはお早目の受診をお勧めいたします。ご本人の受診が困難な場合にはご家族の相談にも対応いたします。